測量機器の発達により、ぴったり正確に水平な墨出しができるようになったが、それでも必ずしもそうした機器を使うのが最善とは限らない。
改修工事では、壁の仕上げをはがしてみると、コンクリートの躯体に古い工事の基準線が残っていることが多い。それらは厳密には水平ではなく、床の仕上げや扉のレールなど、さまざまなものがその基準線に沿って微妙に傾いている。
こうした場合、新たな基準を設けて厳密に水平を取るよりも、既存の「ずれた基準線」に合わせたほうが、全体の整合性が取れ、各所でのズレが少なくなることがある。こうした判断は、新築の工事ではなかなか意識しにくい点だと感じる。
※写真の右側が今回引いた2本の基準線、下が正確な水平ライン、そして上が古いコンクリート躯体に残っていた基準線をもとにひいたライン。