掘る、というのは実に大変なことだ。
まず、掘るといろいろなことがわかる。ボーリング調査では見えなかった地下水の様子や、埋まっていた古い配管など。設計通りにいかないことも判明し、計画を少し練り直さなければならないこともある。
それから、法律上の「工事の開始」というものがある。掘り始めるタイミングがその基準とされていて、当然、その時にはには申請が下りている必要がある。毎日のようにスケジュールと申請の進捗を見比べることになったし、申請が降りて本当にホッとした。
あと、慣習としては、掘る前に「地鎮祭」を行うことが多い。これは神道の考え方に基づく儀式で、土地の神様に対して「これから地面を掘らせてもらいます」ということを報告するものだ。
今回はクライアントの判断もあって地鎮祭はしなかった。でも、実際に掘り始めると、自然と人が集まる。今までオンラインで会議に参加していた構造設計の方も現場に駆けつけてきたりして、やっぱり「始まったな」という実感が湧く。
掘った穴を見下ろして、なにか議論していた時の様子